
いきなりですが、真面目な記事を書きます。
書きます、というかブログに載せる予定なかったんですけど、訳あってこちらに掲載することにしました。
天皇というお立場を具体的に捉えるのは非常に困難であり、学者の中でもいまだに議論が続いています。
その議論の具体的な中身は「天皇は国家元首か否か」です。
学生時代にちょろっと国際法を触っていたこともあり、さらっと書いてみました。
世界から見た『天皇』は日本の顔である
日本国憲法において天皇は象徴とされています。
しかし海外では当然『象徴』という概念がありません。
では一体、天皇という立場を世界中の国々はどう捉えているのでしょうか。
今回は世界のルールである国際法を根拠に、世界から見た天皇を掘り下げていきます。
世界は天皇をどう見ているか
海外は日本特有の『天皇』という立場をどう見ているのでしょうか。
国際法を元に考えると、世界は天皇を『国家元首』と考えていると言えるでしょう。
少しだけ、国際法について確認してみましょう。
国際法とは何か
そもそも国際法とは何でしょう。
国際法は端的に述べると、世界共通ルールのことです。
具体的に言うと、国家間の合意、もしくはそれによって作られた規範を指します。
国際法は大きく分けると以下の2つに分類できます。
- 条約
- 国際慣習法
順番に見ていきましょう。
1.条約
条約とは明文化された法律のことです。
明文化とは、文字にされた、という意味。
歴史の授業で習った「日米修好通商条約」や「ラムサール条約」も『条約』なので文書化され法律となっています。
2.国際慣習法
一方で国際慣習法は不文法です。
要するに、文章になっていないルール。分かりやすく表現するなら、暗黙の了解のようなものです。
例えば「人を殴ってはいけません」という明文化された法律はありませんよね。 なぜなら、わざわざ書く必要がないからです。
国際慣習法がどのようにして成立するかというと、国が国際社会が繰り返し行ってきたことが世界的に法律として認められたときです。
国際法的に天皇は間違いなく元首である
国際法の観点から見れば、天皇は明らかに国家元首であると言えます。
例えば、とある国が日本に大使を派遣するとします。
その際、大使は信任状を持って来日します。
信任状とは、その国の元首が「こちらの大使は信用できる人物です。大使として認めてくだいね」という意志を伝えるための公文書のこと。
信任状は原則として、相手国の元首に渡す必要があります。
日本では信任状を受け取るのは天皇陛下です。
したがって国際社会からすれば天皇が日本の国家元首なのは常識といえます。
この主張の根拠は国際法の1つである『(外交関係に関する)ウィーン条約』を参照すれば明らかでしょう。
外務省の公式サイトにも一部記述があります。
国書・親書とは,国家の元首が相手国の元首にあてて発出した手紙のことで,通常,元首の自筆の署名(サイン)が入っています。 信任状とは,派遣国の元首が,その外交使節(大使,公使など)を信任する意思を表示して,接受国(相手国)の元首または外務省に宛てて送る公文書です。
(一部抜粋) 国書・親書とはより
国際法を根拠にすれば、天皇が日本の国家元首なのは間違いありません。
国内法ではどうか
国内法では「天皇は元首でない」とする説が有力です。
そもそも国の最高法規である日本国憲法に天皇を元首とする旨の記載はありません。
加えて、はっきりと『象徴』とされています。
さらには国政に関する権能を持たないことから、憲法学者のほとんどが天皇元首説を否定しています。
まとめ
国際法を見れば天皇は日本の国家元首です。
なぜなら外国の大使を形式的に受け入れるのは国家元首の役割であり、日本でそれを行うのは天皇だから。
しかし、国内法(日本国憲法)では、元首と定められていないため、天皇元首説は通説ではありません。
どの学問を根拠にするかによって、天皇の立場が変わって見えるのは非常に興味深いですね。
間違い等ございましたら、ご指導いただけますと幸いです。